転職の価格

私よりも読者の皆さんのほうがはるかに実感していることだろう。
ここ数年、マスコミの寵児として紙面を賑わせてきたたくさんの会社に思いを馳せれば、おわかりのとおりである。 昨日の勝者は今日の敗者、今日の敗者は明日には消えてなくなってしまうのだ。
ましてや、日本企業の特徴の1つだった終身雇用制度はとうの昔に崩れ去り、あのM下電器でさえ、何千人単位でリストラする世の中だ。 そう言えば、この会社は3年ほど前に新卒に対して、退職金を積み立てるか、それとも毎月の給与の中に組み込むかを選択させたところ、半数以上が給与への組み込みを望み、ショックを受けたという。

首脳陣があれこれ思案する以上に、社員は切り替えが早いのである。 同様に、私が勤務してきた外資系企業に対するイメージが様変わりしていることでも理解できる。
15年ほど前の日本では、外資系企業に対する抵抗が強かった。 曰く、外資は不安定だ。
少し業績が落ち込むと、簡単に店仕舞いをして引き揚げてしまう。 曰く、たとえ日本支社の業績が良かろうが、本国の都合(戦略やM&A)で一夜にして撤退の断が下される。
曰く、主要ポストは外人部隊に占拠され、日本人であるかぎり社長には金輪際なれない。 運良くなっても、本国のリモコンが強く、実質的な権限はないに等しい。
そもそも「世界第2の経済大国を誇る日本人が、なにが悲しくて、外資なんぞに身を落とさなければならないのだ」という心理的な壁が高く、厚く、立ちはだかっていた。 総合すると「外資勤めは恥」という文化であった。
少なくとも、私はそう感じていた。 ところがどうだ。

ここ10年間の経済不況を背景に、日本型経営の終焉、グローバル.了不ジメントの到来とばかり、20代〜30代半ばの「旬」のビジネスマンを中心に、外資系企業、外資系企業スタイルのマネジメントへの共感が日増しに高まっているではないか。 かつての日陰者のような視線を知る者にとって、この変わりようは信じられないような気がする。
だが、実際には、必ずしも外資志向ということではない。 はじめに外資ありきではなく、まず自分のスキルを高め、実績を上げる。
結果として、自分の付加価値(商品価値)を高めて次のキャリアアップを狙おうとする、上昇志向の新.日本人が出現しているのである。 スキルを徹底的に引き出す職場はどこか。
年齢や社歴、学歴の枠に縛られない職場とはどこか。

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